不登校対応 4
●不登校対応で怖いこと
いいと思うことは、何をやってもいいと思いがちです。
「たくさん食べたほうがいい」と思っている人は、
食べすぎが身体に合わない人にも、
食べることをすすめてしまいます。
「勉強したほうがいい」と思っている人は、
明らかに勉強が向いていない人にも、
勉強をすすめてしまいます。
「結婚したほうがいい」と思っている人は、
結婚しないほうが幸せな人にも、結婚をすすめてしまいます。
すべて善意から来るものですが、
だからこそ厄介なのです。
悪意なら、ブレーキを踏みますが、
善意だと、アクセルだけを踏みがちです。
だから、私は、
悪意よりも善意のほうが怖いと思っています。
相談を受けていると、つい、善意で
「~~したほうがいい」と言いたくなることがあります。
でも、実際に言ってしまうと、
それが原因で悪い方向にいったりします。
善意で言ったことが、思わぬ展開で結果的に悪くなる。
そういうことが山ほどあるのが、この世の中です。
善意だったら何でもやっていいわけではありません。
「善意ならすべて許される」というなら、
この世は成立しません。
このことを覚えておかないと、
とんでもない失敗をしがちなので注意してください。
不登校の子供を持つお母さん、
「良いと思うことは、何でもしていい」
と思っていませんか?
もし、思っていたとしたら、
危険ですので、すぐに改めてください。
木村優一
●子供が興味を持っていることを入口にする
学歴に興味が無い子供に、
いきなり高校進学の重要性を熱っぽく語っても、
耳にシャッターがおりてしまいます。
ですから、そういう場合、
子供が興味を持っていることに関連づけて
話をスタートする必要があります。
音楽に興味がある子供なら、
「X JAPANのYOSHIKIって、
ある時から猛烈に勉強して大学進学を果たしたんだって。
なぜ、彼が、そこまでしたかって言うとね……」
というふうに、話をスタートさせます。
学歴無しの人生に憧れている子供には、
「学歴なんて無くたって成功している人、たくさんいるんだね。
お母さん、知らなかった。
学歴なんて、どうでもいいのかもね。
ソフトバンクの孫さんなんかは、
大学在学中にビジネス起こしてたみたいだし……」
というふうに、会話の入口は子供の興味に合わせて、
いつの間にか、自分のテーマに引き寄せていきます。
こういうふうに、
話の入口を子供に合わせるようにすると、
子供が興味を持っていない話題でも、
簡単に聞いてもらえます。
木村優一
●良くなりたい。でも…
人間は、心のどこかで、
「良くなりたい」と思っているものです。
「もうちょっとマシな人間になりたい」
「もっといい人生を送りたい」
といったように、
いろいろな面で「良くなりたい」と思っているものです。
もちろん、個人差はあるでしょう。
強く思っている人もいれば、
あまり思っていない人もいるでしょう。
ただ、程度の差はあっても、誰もが
心のどこかで「良くなりたい」と思っているはずです。
けれども、それと同じくらい、
「良くなりたくない」と思っているのも人間です。
なぜなら、
良くなるためには“変化”が必要だからです。
場合によっては、長年かけて積み上げてきたものを
壊さなければなりません。
ですから、
「良くなりたい」と思った瞬間に、変化への抵抗が起き、
「そんなに簡単には良くなりたくない」
と思ってしまうわけです。
不登校の子供も同様です。
「学校に行きたい」「いじめから逃げたい」と思っても、
変化への抵抗が起き、
そうそう簡単には実行したくないのです。
この心の動きを理解していないと、
親は子供に、
「学校に行きたいなら、学校に行けばいいじゃない」
と、とんちんかんなことを言ってしまします。
「良くなりたい」と思うのと同じくらい
「良くなりたくない」と思ってしまう。
このことを頭に入れて子供と接することが大切です。
木村優一
不登校対応 5
●不登校の子供と口論してしまう親
不登校の子供と口論してしまうことについて
悩んでいるご両親へ。
子供が学校に行かない
↓
心配
↓
つい、余計な一言を言ってしまう
↓
子供と口論になる
↓
自己嫌悪におちいる
子供が不登校の場合、こういった経験をされている
ご両親は多いことと思います。
私も経験があります。(私の場合、子供の側ですが…)
親の一言に不安をあおられて、その不安を
なんとかして消失させたいから必死に親に反論する。
その結果、とんでもない口論になり、親も私も疲れ果てる…。
そういった経験を何度もしました。
このような場合、
1つ知っておいていただきたいことがあります。
まず、第一に、
「親子間のコミュニケーションの問題としてとらえない」
ということです。
親と子の間にコミュニケーションの問題があると
早合点しないでください。
実際、問題はありません。
(コミュニケーションを取れている時点で
問題ありませんから…)
あえて問題視するとすれば、
親と子それぞれの内面的コミュニケーションに
問題があります。
親も子も、自分自身とのコミュニケーションが
上手くいっていないから望まない口論を生んでいる
と言えるのです。
だって、そうでしょう?
自分自身と上手く対話できる人は、
他人とも上手く対話できます。
「○○と言われると△△と感じるのでは?」
と自分自身と対話できていれば、
他人に向けて発する言葉を適切に選ぶことができる
ので、余計な衝突を回避できるのです。
ですから、親子間で口論となってしまう場合、
まずは、
自分自身とのコミュニケーションが上手くいっているか、
振り返ってみましょう。
次に、口論することを否定的にとらえないでください。
口論できるということは、非常に喜ばしいことです。
口論するためには、けっこうエネルギーを要します。
頭も使いますので、賢くなければ口論はできません。
そういう意味で、口論できるということは、
エネルギーが高くて賢い証拠なのです。
親も子もエネルギーが高くて賢い。
こんなに喜ばしいことは、なかなか無いと思いませんか?
不登校の子供と口論してしまうことについて
悩む必要はありません。
むしろ、喜ばしいことだらけであることに気づいてください。
木村優一
●世界は1つだけど、1つじゃない
最近、ある人から教わったことです。
「世界は1つだけど、1つじゃない」
一瞬、意味不明でした。
でも、よくよく聞いてみると、
その意味は実にシンプルで簡単でした。
「世界で起きている事実は1つ。
でも、その事実の見方によって、
無数の世界が生まれるんだ」
「たとえば、ここにバナナがある。
“バナナがある”という事実は1つだよね。
でも、このバナナを見て『おいしそう』と感じる人も
いれば、『色が変だな』と思う人もいる。
バナナを食べる習慣が無い国の人が見たら
「なんだ、これは?」と感じる。
つまり、世界で起きている事実(バナナがある)は
1つでも、見方が人によって違うために、
「おいしそうなバナナがある」という世界や
「色が変なバナナがある」という世界や、
「謎の物体がある」という世界が生まれるんだ。
だから、世界は1つだけど、1つじゃないんだ」
事実は1つ。
でも、その事実の見方は無数にある。
そして、その見方は自分で選べる。
それは、不登校にも当てはまります。
「子供が不登校」という事実は1つ。
でも、その事実の見方は無数にあります。
「子供が不登校でつらい」という見方もあれば、
「不登校の子供は強い」という見方もあります。
どの見方を選ぶか。
それは、自由自在です。
木村優一
●不登校の子供の力を引き出す方法
これは、不登校の子供に限りませんが、
人間は、共感され、
受け入れてもらった時に潜在力を発揮します。
自分の気持ちに共感してくれる人がいた時、
自分という人間のありのままの姿を
受け入れてもらった時、
人は自分でも信じられないくらいの力を発揮します。
不登校の子供を持つお母さんは、
ただただ我が子の気持ちに共感してください。
ただただ我が子の存在を受け入れてください。
それだけで、子供は生き生きとしてきます。
子供にとって最善の道を歩むようになります。
木村優一
不登校対応 6
●言葉に出さないことを感じ取れますか?
これは不登校の子供に限りませんが、
子供と接するときには、
“言葉に出さないことを感じ取る力”が大切です。
普通に考えると、当然ですよね。
通常、子供は大人よりボキャブラリーが少ないので、
言葉で表現したくてもできないことが多いはずです。
そう考えると、子供には、
“言葉に出さないことを感じ取ってもらう力”が
必要だと分かります。
ですから、親が、“言葉に出さないことを感じ取る力”を
身につけておかないと、子供とのコミュニケーションが
浅いものとなってしまいます。
場合によっては、親も子供も混乱します。
“言葉に出さないことを感じ取る力”を身につけるために、
「子供と同じ気持ちになりながら、
子供の気持ちを客観的に見る」
という習慣をつけましょう。
文章にすると、
矛盾しているように感じるかもしれませんが、
「子供と同じ気持ちになりながら、
子供の気持ちを客観的に見る」
という感覚は、一度体感すると、よく分かります。
初めのうちは、上手くできないかもしれませんが、
根気強くトライして、少しずつ上達していきましょう。
そうすることで、
子供とのコミュニケーションが良好となります。
木村優一
●禁止で、拍車がかかる
破壊的衝動が高まっている時、
「~してはいけない」と禁止すると、
「~してやる」という方向に拍車がかかります。
例えば、
「肺がんになって死んでもいいや」と思っている人に、
「タバコを吸っちゃダメ!」と禁止令を出すと、
「俺の好きにさせてくれ!放っといてくれ!」
と、タバコを吸う方向に拍車がかかります。
不登校も例外ではありません。
「このまま不登校つづけて、卒業できなくてもいいや」
と破壊的衝動が高まっている時に、
「不登校はダメ!」と禁止令を出すと、
不登校を続ける方向に拍車がかかります。
破壊的衝動が高まっている時、
「~してはいけない」と禁止すると、
「~してやる」という方向に拍車がかかる。
このことは、不登校の子供と接する時に、
特に頭に入れておいていただきたいことです。
木村優一
●間隔を置くことの重要性
不登校対応で重視すべき点は、
“間隔を置く”ということです。
人間は急には変われません。
特に、頭の中が混乱している場合や、
感情的になっている場合などは、
なかなか変わることができません。
しかし、1日で驚くほど変わるのも人間です。
1日では難しくても、
1週間で急激に変わるケースは
結構多いものです。
急に変わらない場合と、急に変わる場合。
両者の違いは、間隔を置いているかどうかです。
間隔を置くことで、
人間は“自力”を発揮しやすくなります。
自力を発揮できると、
短期間で驚くほど変わることも可能となるのです。
不登校の子供と接する時は、
“じわりじわり”が基本です。
「絶対、今日中に解決しなきゃ!」と焦るよりも、
間隔を置いて、じっくりと向き合うほうが
得策です。
木村優一